当院で出るダイオキシンを発生さす生ゴミの処理は適切なのかと問い直される。 7〜8年前にさかのぼるが、北部の病院関係の生ゴミは地元の養豚業者が 飼育用餌として回収させていた。しかし養豚が衰退の時期であったのか 突如として多量には回収が出来ない、生ゴミを回収して欲しければ料金を支払うという時代になった。 生ゴミ→豚の餌→食用豚肉・肥料の自然の循環サイクルは崩れ始めた。 養豚業者が豚の餌にという名目で回収していった生ゴミの多くは焼却場に持ち込まれていた。戻るひるがえって農業はどうであろうか。 農業生産物は、家畜、人間などの循環をし、廃棄物・排泄物となる。 焼却せずに有機廃棄物を土に戻すことは、土壌資源・土壌活性の基になるものである。 かっての江戸時代のリサイクル社会をみるまでもないが、都市で出た廃棄物(ほとんどが有機物)は 農村にかなりの程度還元され、その廃棄物によって土地を豊穣にし、そこで生産された農作物が都市に戻ってくる。 土壌、水、大気などの人間・自然環境の保全を成しえていた農業主体の社会であったのだ。 現代では、焼却と言う手法に変わりこの様な有機廃棄物の土壌還元は困難になっている。 その結果、化学肥料依存性が高まり、農薬の使用等による環境破壊が発生した。 有機燐や塩素系農薬は人体への直接障害として、急性皮膚炎、呼吸障害、肝障害等があり悪くすれば死亡する例もある。 人間の体内に取り込まれると、副腎、睾丸、甲状腺など脂肪の多い器官や肝臓、腎臓、腸間膜の脂肪に蓄積され健康に障害を与える。 農薬の使用は医療機関としても看過出来ない問題である。
農林水産省は1993年度の農業白書で地域合意に基づく環境保全型農業の総合的な推進を掲げ、 農業分野におけるリサイクルの推進を目標に挙げている。